秋の気配と桔梗のつぼみ ― 月人壮士が漕ぐ舟に想う

2025年8月5日(火)

山上臣憶良が詠んだ秋の野の花の歌、二首をご紹介します🍂✨

1537: 秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花
1538: 萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなへし また藤袴 朝顔の花

ちなみに「朝顔の花」とは、今でいう桔梗のことなんです🌸
そして、今年の立秋は 8月7日。もうすぐ秋の気配が近づきますね🍁

秋風の 清むる夕 天の川 舟漕ぎ渡る 月人壮士
(万葉集巻十・2043・秋雑歌・七夕)

秋風が澄みわたる夕べ、天の川を舟を漕いで渡っていく月人壮士。


私はずっと、自分は夏生まれだと思っていました。
でも、あるとき万葉集の七夕の歌を読んで、「秋」という漢字が頻繁に出てくるのを見て、あぁ私は秋生まれなんだな、とふと自覚しました。

昔、何人かの人に「夏生まれなの?なんかそんな感じしないね」と言われたことがあります。
確かに夏生まれって、色黒で元気いっぱい!というイメージがありますよね。私は真逆かも…あはははっ。

先の歌に出てくる「月人壮士(つきひとをとこ)」は、三貴神の一柱である月読尊を指すという説もあります。
大空を、月を舟に見立てて漕いでいく――そんな姿を想像すると、なんだか壮大で神秘的です。

月は消えては生まれ、また消えては生まれる。
その姿は、人が死んでまた新たに生まれていく、そんな営みを映しているようにも思えます。

明日は、母方の祖母の命日です。
いろんな意味で、どうしてこんな印象的な日に亡くなってしまったんだろう…と、今でも思わずにはいられません。


「月人壮士」の解釈には複数説があります。
だからこそ、歌を読むたびに新しい情景や物語が浮かびあがってくるのかもしれません。

耕友会 夏の終わり(詞曲:森山直太朗/詞:御徒町凧/編:田中達也

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