消えゆく彼岸花と、宮木野に残る飢饉の記憶

📅2025年9月29日(月)

昨日、お彼岸も明けたので、お墓をきれいに片づけてきました✨
帰り道、稲刈りを終えた田んぼに咲く彼岸花を見つけ、季節の移ろいを感じるひとときでした🌾❤️😊

田んぼの彼岸花

宮木野の記憶

子どもの頃、よく「彼岸花には毒があるから触ってはいけないよ」と言われました。
田んぼの畔に植えられるのは、毒があることでネズミが穴をあけないようにするためだと教えられました。

一方で、飢饉のときには「何も食べるものがなくなった最後の非常食だ」とも。
だからこそ、普段は口にしないよう「毒」と伝え、また人が手を出さないお墓のそばに植えられてきたのだそうです。(ほかにも理由があるらしいのですが、)

子ども心に「彼岸花は毒なのか、それとも非常食なのか」とずっと不思議に思っていました。
今では毒があることは知られていても、非常食になり得ることを知る人は少ないかもしれません。

実際、彼岸花には毒がありますが、適切に処理すれば無毒化できるそうです。
鰻の血液には毒があるが加熱で消えるそうです。それに似ていますね。

江戸時代、宮木野は三度も大きな飢饉に見舞われました。
そのため、親は子に草を指さして「これは食べられる」「これは食べられない」と伝えたのでしょう。
そうした知識は、家ごとの秘密として受け継がれ、決して他には教えなかったといいます。
けれど今では、そうした記憶を受け継ぐ人もほとんどいなくなりました。

土地改良が進み、田んぼから彼岸花の姿も少しずつ消えていきました。
恵まれた時代に生きていると思う一方で、昔の人々の悲しい記憶が、今も私の心には残っているのです。

お墓の彼岸花

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